性交の後は大多数の妊婦さんがおなかが張ると訴えます。それは①精液中に陣痛を促進させるプロスタグランディンや子宮頸（けい）管を軟らかくするサイトカインが含まれるため、子宮が収縮してしまう②オルガスムスや乳頭への刺激が脳下垂体に上りオキシトシンという別の陣痛促進剤の分泌が亢進（こうしん）する③性行為自体の刺激運動が子宮収縮を誘発すること—などが原因です。ただしこれらの作用は一過性であるため、少し安静にしていればおなかの張りは治まることが多いのですが、妊娠初期は流産をしやすい時期なので、性交はしない方が良いですし、妊娠後期も、早産や前期破水の原因となりますので、可能な限り自粛してください。また、妊娠中の性交の危険は、精液とペニスによって伝搬される感染（絨毛＝じゅうもう＝膜羊膜炎)ですから、できるだけコンドームの使用をお勧めします。