子宮を支える靭帯(じんたい)の一つに「円靭帯」というのがあります。子宮の頸(けい)の方から出て、左右の鼠径(そけい)部を通り恥骨に至り、子宮がぐらぐらするのを防いでいる靭帯です。子宮が大きくなるにつれ、この靭帯も引き伸ばされるため、左右の足の付け根に痛みを感じることがあります。痛みを取るには、痛い方の足を下にして横向きに寝ると、靭帯の緊張が取れて痛みはなくなります。また、赤ちゃんの頭が下がってきたために痛むこともあります。妊娠30週では早産の可能性も考えられるので、早めに病院の診察を受けましょう。鼠径ヘルニアの痛みも考えられますが、妊娠性のものは分娩(ぶんべん)が終了すると再び筋肉が締まるようになり、自然に治ることが多く手術が必要な人はわずかです。一方、この時期は赤ちゃんの胎動も激しくなってきて、子宮に痛みを感じられる方もおられます。妊婦健診で異常なしと診断された方は大丈夫ですが、痛みが増強していくようでしたら、早めに産婦人科の医師の診察を受けてください。